蒸散について
森の中を散策すると涼しいと感じたことがありませんか?
ほかにも、蒸し暑い夏の夜に神社やお寺の辺りだけひんやりした・・・とか
田舎の朝は冷えるなどなど・・・それらには植物の蒸散がかかわっています。
植物体内(主に葉)の水分が空気中に排出されることを、蒸散といいます。
蒸散は主に気孔を通じて起こり、植物が自分で調節している点が普通の蒸発とは異なります。
植物が水分を必要とするのは生命維持のためはもちろんのこと以下の理由もあるとされます。
- 呼吸のための水
光合成の際、CO2を吸収する気孔を開くと水分が放出されてしまうため
- 気化熱で葉の温度を下げる。
水が蒸発するときに奪われる気化熱で、葉の温度が上がり過ぎないように守っているため
- 水に溶けた無機養分を葉に届ける。
土壌から吸収した無機養分を葉まで届け、不要となった水を放出するため
とされています。
一般に森の中は湿度が保たれ、気温も安定しています。
それには樹冠による日差しの遮断があり、水分を多くふくむ落葉の層が地熱を下げ、
そして、蒸散の働きが関与しているというわけです。
植物の働きはヒートアイランド現象の緩和に有効です。
大きな木陰は夏の直射日光を遮り、蒸散効果も相まって地表の温度上昇を抑えます。
また、木陰で冷やされた空気は建物やアスファルトとの温度差のために空気の対流が生じ、
周囲に冷気を送り込んでくれるのです。
植物の特性を活かして快適な環境を
庭の中でも樹木の木陰を上手に用いることで、住まいの環境を改善し、木漏れ日の下の
快適な住まいとすることができます。
また、冬の落葉樹は葉を落として、陽だまりの庭となります。
自然のもつチカラを上手に活かして、夏は涼しく冬は暖かい、そんな住みやすい環境を作
ることは庭づくりの面白みの一つでもあります。